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はあちゅうのセクハラ事件

by tajima


ブロガーのはあちゅうが電通時代にひどいセクハラを受けていたというBuzzFeedの記事が話題になっていた。僕ははあちゅうが嫌いだ。なんか下品でしょ?
しかし、こんなひどいセクハラをしたとされるのは、どんな人かと興味を持った。
アマゾンを見たら、10月に「己を、奮い立たせる言葉。」(幻冬舎)が出たばかり。
うっかり電子書籍を買ってしまった。
1200円。
紙の本なら1296円なので、あまりお得感はない。
しかし、好奇心が勝ってしまった。

「はじめに」のページには「思考の試行錯誤の記録」とある。
そもそも試行錯誤は思考が伴っていないとできないことだと思うが、あえて「思考の」と付けるのは広告マンらしいウイットに富んだ言葉遊びなんだと理解して差し上げた。

しまった。自身のTwitterを再編集したものらしいが、だったらTwitterを読めばよかった。
と思っていたら、Twitterのアカウント自体が消えていた。

目次を眺めれば

・進化は危機からやってくる。
・成長したいのなら出来たことよりも、出来なかったことに目を向けろ。
・万人に愛されることを目指すな。


といった暑苦しい項目が68個も並ぶ。
ギラギラした何かに胸焼けしながら読み進める。正直ペラい。
実はちょっとは期待していた。だって表紙には「電通史上最年少で、エグゼグティブ・クリエーティブ・ディレクターになった鬼才」とある。どれくらいありがたい肩書きなのか知らんが、エグゼクティブなのだ。
僕にも役に立つ何かが書かれているんじゃないかと思っていた(すぐには気付かれない上手な嫌みの言い方とか、使い回せる企画書のフォーマットとか)。
しかし、そういう具体的な何かはない。いわゆるライフハックもない。
あるのは自己陶酔ばかり。


代わりにページを埋めるのは「考え抜く」「失敗を恐れずに大胆に挑む」「ビジネスにおいて決まった正解などない」という、なんかそれっぽいけど、どこかで聞いたことのあるような言葉ばかりだ。
具体的な失敗談も勝ってきたプレゼン方法も出てこない。
Twitterを再編集したせいか、一文一文のつながりも弱い。

この本の編集者は著者に7回断られ、2回無視されて、10回目にしてようやく企画が受け入れられたらしい。
しかし、多分そこでエネルギーを使い果たしたのだろう。
まともな編集者の意見が反映されている文章とはちょっと思えない。

唯一目を引いたのが「うなくいっているときこそ、うまくいっていることの中に潜む、うまくいっていないことに気を配る。」という項目。
こんな文章が書かれている。

誰だって好調なときは浮かれる。むしろ浮かれて良い。浮かれて良いから、必ず不調になるシナリオについて想像しておくと良い。
これは漠然とした不調への不安とは全く違う。かなり具体的に崩れていく様を想像するという作業だ。
崩れるとしたら何が原因でどう崩れるのか。どんな事故が起こったら、この好調は終わるのか。
具体的に、滅びのストーリーをイメージしていく。


彼にも滅びの予感はあったのかもしれない。
そんなわけないか。

それにしても僕は本を買って後悔することはほとんどないが、今回ばかりは後悔した。
買ったときには、ここまで失敗するとは思っていなかった。
本屋で紙の本を手にするって大事なことかもしれない。


tajima
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