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いりこと残酷

by tajima


たいして料理もしないのだけれど、いりこを使ったダシの取り方教室のようなものに行った。よく行くお店で声を掛けられた。いりこという呼び方を僕の暮らす地方ではあまりしない。煮干しだな。最初にいりこと聞いて分かったようで分からなかった。この分からなさがよかったのかもしれない。

香川県のいりこ屋さんが講師だった。香川というとうどん県。以前なら讃岐うどんを看板に掲げる店では、いりこをちゃんと使い、その店ならではのダシが味わえたが、今はそうでもないらしい。業者が作った液体の濃縮したダシを使うところが増えているという。ローカル名物まで均質化しているって面白い。もちろん歓迎すべきことではないのだけれど。

ダシの飲み比べがあった。質の悪いものとちゃんとしたもの、はらわたの処理をしっかりしたもの。自分の舌にはまあまあ自信があるので、どれがどれだかちゃんと当てられた。当てたというか、おいしい順には並べられた。

いりこを買うときは口を開けたものが入った袋を買うと当たりなんだって。ゆでる瞬間まで片口鰯が生きている証拠だとか。鰯はその漢字の通り、痛むのが早いらしい。おいしいいりこを作るには、新鮮な状態のまま煮る必要がある。もだえ苦しみ、びっくりするくらい大きな口を開けた鰯の表情は怖かった。本当においしいものを食べようと思うと、どうしたって残酷さがつきまとう。



tajima
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